社会保険労務士法人ぶれす

2023.10.27

動物病院で多いご相談⑥産休育休中のあれこれ

こんにちは。特定社会保険労務士の延島です。
前回、前々回と、スタッフが妊娠したら育休から復帰するときのお話しでした。

順番が前後しますが、今回は、お休み中に職場がやることあれやこれやです。

さて、十分に準備をしていざ産休、育休となりました。
お休み中はどんな対応があるでしょうか。

主な手続きです。
産休中の社会保険料免除申請&期間変更手続き
育休中の社会保険料免除申請&期間変更手続き
住民税の異動手続き
お子様の被扶養者追加手続き
出産手当金の申請手続き
出産育児一時金申請※
育児休業給付金手続き
復帰後の社会保険料免除の終了手続き
復帰後に時短勤務等で給与が下がった場合の社会保険料の変更手続き

※医療機関等が直接支払制度に対応しているときは手続き不要です。
ただし、出産費用が出産育児一金の額を下回った場合は、差額が支給されますので、請求手続きが必要です。

 

休業中の従業員の方への対応としては
復帰後の労働条件の相談
復帰のためのサポート
保育園申込のための就労証明作成などのサポート
などがあります。

手続きが多くてクラクラするかもしれません。
特に社会保険に加入している場合は、出産予定日と出産日が変わることで手続きがあったり、復帰後に給与が下がった場合の社会保険の手続きなど、多くあります。

👶産休中の保険料免除手続き

産前産後休業取得者申出書」を作成して免除の手続きをしましょう。
健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合、日本年金機構それぞれに届け出が必要です。

この届を出すことで、ご本人、事業主ともに保険料が免除されます。
もちろん免除期間も保険証を使うことができます。
届を出し忘れてしまうと、毎月の保険料が変わらず、本人分も含めて全額会社が負担することになってしまいますので、注意しましょう。

「産前産後休業取得者申出書」の終了日が出産日が変わったことで変更になった場合は、その届を出しておく必要があります。

 

👶国民年金、国民健康保険の場合

女性の方に限り、労働者ご本人がお住まいの自治体で手続きをすることにより免除されます。(国民健康保険料の免除制度は令和6年1月より始まります)

 

👶出産手当金の手続きをしましょう

続いて事業主の方が行う手続きとして「出産手当金」の申請があります。
産休をとり勤務できない女性従業員の方に、給与が支払われない場合に健康保険から約3分の2が支給される制度です。
手続きは「出産手当金支給申請書」に、ご本人、かかった病院が記入して、事業主に提出します。
事業主の方は、事業主記入欄を記載して提出します。
産休中の無給期間の大切な経済支援となりますので、産休後に速やかに提出しましょう。

残念なことに出産手当金は、国民健康保険には無い制度のため、社会保険に加入している方に限ったものです。

 

👶育児休業中の保険料免除手続き

育休期間中も健康保険、厚生年金保険料が、本人、事業主ともに免除されます。
育児休業等取得者申出書」を申請します。
産前産後休暇の免除と、育児休業中の免除の届出は、それぞれ別になります。
産休中に1度だしたきりでそのまま~とならないように注意しましょう。

 

この制度も、国民年金、国民健康保険の場合は、残念ながらありません。
ただ、「こども未来戦略方針」では、令和8年度までに育休中の国民年金保険料の免除制度を創設する目標を掲げています。
社会保険のない職場の方の育児休業中の負担が減るように、1日も早く達成してほしいですね。

 

こんなにたくさんの手続きがあったら、とても対応できない、、、といった気持ちになるかもしれません。
ひょっとしたら、「今までのように働けないだろう」、「うちみたいな小規模なところでは」といったこともよぎるかもしれません。

何から手をつけたらよいか、、、無料で受けられる国のサポートがあります。

中小企業育児・介護休業等推進支援事業」名称はちょっと堅めですが、専門家が無料でサポートしてくれます。

職場にきて相談にのってくれたり、今回のブログにあげたような手続きについても相談にのってくれます。

 

厚生労働省の「育休復帰支援プラン策定のご案内」では、手続きリストなども配布されています。

 

動物病院での仕事は、人柄やコミュニケーション能力が重要な位置づけを占めていないでしょうか。
専門的な知識はもちろんですが、特に動物看護師の方の場合、業務の幅はとても広く、医療行為の技術や知識のみでは足りません。
飼い主の方から症状のヒアリングや適正な飼育の支援など、相手の状況に配慮して対応する高いコミュニケーション能力が求められます。

さらに病院事務や管理業務など、その職場での勤続年数の長さが対応できる業務に繋がっていないでしょうか。

離職による損失は、採用コストだけでなく、教育コストもかかります。
育児に限らず、様々なライフステージの変化があります。
急な欠員に備えられる持続性のある職場づくりこそ、企業の成長につながります。

その都度、職場にあった人を探しつづけるよりも、今いる方がどうやって働き続けられるかを考えてみませんか。

 

~こちらも合わせてお読みください~

妊娠したスタッフへの対応

育休から復帰するとき


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