社会保険労務士法人ぶれす

2023.09.15

「有期雇用」で気をつけること

社会保険労務士の山下です。

 

御社ではどんなときに「有期雇用」で労働契約を結びますか?

①パート/アルバイトは基本、有期雇用
②フルタイムだが、いきなり正社員ではなく最初一年間や半年間は有期雇用

この2パターンが多いのではないでしょうか。

今回は主に②のケースでの有期雇用についての話題になります。

 

ポイントは2つ

①有期雇用の契約更新は確実に! 雇用期間が切れる前に更新手続き・労働条件通知書を書面で交付する。

②有期雇用をむやみに続けず、定年まで働いほしい、と思う方は無期雇用に転換

(そうでない方は、早めに結論を出す)。

です。

 

ご存知の通り、日本は正社員を解雇するとなると、相当の事由が必要になります。採用してみて、ちょっと我が社では厳しい、、と思っても、簡単に解雇はできません。

そこで、「まずは有期雇用で一年」と有期雇用で採用することがあります。有期雇用の場合、次の更新をしなくても「解雇」ではなく「契約期間満了」で関係を終わりにできるからです。

それなら、断然有期雇用の方がいい!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、注意しなければいけないことがあります。

 

①きちんと手続きを踏まないと「実質無期雇用」と見なされ、正社員と同様の「雇止め法理」が適用される。

雇止め法理とは、「有期雇用の従業員の雇止め(契約更新しない)に合理的な理由が必要とされ、合理的な理由のない雇止めは無効とされる」ルールです。

どんな場合に適用されるかというと、

● 有期にもかかわらず契約更新をきちんとしていない

 →契約書をきちんと取り交わしていますか? 最初の雇用契約の期限が切れているにもかかわらず、契約書を取り交わす等がないと、従業員側からすると「何も言われないから契約更新してもらえた」もしくは「有期だと思わなかった」ということが十分に有り得ます。

 

● 当然更新してもらえると従業員が期待するような理由がある

→ 長年契約更新をされる従業員がほとんどである、仕事内容や勤務体系が正社員と違いがないといったケースがこれに当てはまります。 

②継続年数に応じて、対処しなくてはならないことが増える

⚪︎1年を超えて継続、もしくは3回以上更新している場合、雇止めするには30日前までに通知が必要になる

⚪︎3年経つと「契約期間満了」で契約を終了しても、雇用保険上は離職理由「会社都合退職」となり、一定期間申請できない助成金がある。

⚪︎5年経つと無期転換権が発生する

 

無期転換ルールは2013年から施行されたルールで、有期雇用が通算5年を超えるときは、労働者の申込により、無期契約に転換できる制度です。

対象となる従業員が無期転換を申し込んだ場合、会社はこれを拒むことができません。

ここで注意ですが、無期転換を申し込んだからといって、パート・アルバイトもすべて正社員にしなくてはならないというわけではありません。あくまで、契約の定めをなくして、定年まで雇用しましょうと、ということです。

 

以前のブログ  来年4月から、雇用契約書の記載内容が変わります – 社会保険労務士法人ぶれす (bless.site)

でも少し触れましたが、
来年4月からは、この無期転換についても労働条件通知書に記載が必要になります。たとえば、契約期間が1年の場合、5回目の契約更新のタイミングで無期転換権が発生するので、「無期転換を申し込める」と労働条件通知書に記載が必要です。

 

2013年の施行後、無期転換権を実際に行使した人の数は、3割未満に留まるという統計があります。

まだまだ無期転換権に関する認知度が低いため、会社側からきちんと説明・案内する必要がある、という趣旨なのではないでしょうか。

 

これらを踏まえ、しつこいようですが、もう一度・・・。

ポイントは2つです。

①有期雇用の契約更新は確実に! 雇用期間が切れる前に更新手続き・労働条件通知書を書面で交付する。

②有期雇用をむやみに続けず、定年まで働いほしい、と思う方は無期雇用に転換

(そうでない方は、早めに結論を出す)。

 

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