社会保険労務士の山下です。
東京もめっきり寒くなり、休日もついつい家の中にこもりたくなります。。
寒くなると定期的に思い出すのが、中学校時代の熱血教師。私は学生時代を北海道で過ごしたので、当然冬は学校のグラウンドも雪が積もっているわけです。ですが、たまに雪解けして少しだけ気温が高い(といっても5度以下)日には、容赦なく外で走ってくるよう生徒に促すのです。
その先生の口癖は、
「健全な精神は、健全な肉体に宿る!」
身体が元気だったら、心も元気になる。うじうじ悩んでないで走ってこい!
みたいな感じです。
いまなら、先生の言いたいことも一理あるなぁと思えるのですが、当時は、子ども心に「なんかそれ変じゃない? 身体が元気でも精神が穏やかじゃない人だっているし、その逆もあるよ・・・先生って脳まで筋肉なの・・?」とモヤモヤしていました。
その後、高校生になってから友人に借りた漫画(たしか 小林よしのりさんの”ゴーマニズム宣言”だったと思います)で「あれは、古代ローマの詩人、ユウェナリスの名言だけど、健全な精神は健全な肉体に宿れかし。~かしっていうのは願望だから。健全な精神は、健全な肉体に宿ってほしいなぁっていう願望だから!」と読んで「なるほど!そういうことだったのか!」と、以前のモヤモヤが晴れるような感覚になり、妙に感動したものです(そして、それ以外その漫画の内容はほとんど覚えていません。。)
・・・前置きが長くなってしまいましたが、今日は中小企業での健康管理&メンタルヘルス対策についてご紹介したいと思います。
働く人と会社にとっても、精神(心)と肉体(身体)の健康管理は大切です。
・身体はまだまだ元気なつもりでも、いつの間にか心が疲れてしまって、仕事を休みがちになる。
・心は元気だと思っていたのに、朝起きれなくなって遅刻がちになる。
自分では気が付かないうちに、症状が進んでいることもあるのです。
では、未然に防ぐために、会社としてどんな対策をしたらいいでしょうか。
1)時間外残業が月80時間以上あるような方には積極的に「面接指導」を勧奨すること。
脳血管疾患及び虚血性心疾患等の発症が長時間労働との関連性が強いとする医学的知見があります。そのため、脳・心臓疾患の発症予防として、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、企業は産業医による面接指導を行わなければならないこととされています。
具体的には、時間外・休日労働を含めて月80時間超の労働者で、「希望した労働者」が対象なのですが、「希望の申し出がないならいいか」と放置するわけにはいきません。疲労が蓄積していないか、管理者から声掛けすることが大切です。
参照:厚生労働省|長時間労働者への医師による面接指導制度について
さて、上記のパンフレットもそうなのですが、「産業医」がいることが前提のものが多く、「産業医なんていないけど・・・」と思われた方もいらっしゃると思います。
産業医は50名以上の事業場で選任が義務付けられていますので、50名未満の場合は選任していなくても構いません。
50名未満の小規模事業者のために都道府県に「地域産業保健センター(ちさんぽ)」が設置されており、さらに区・市ごとに「地域窓口」が設置されています。面接指導だけでなく、メンタルヘルスに関する相談も無料で受けつけてくれます。
東京都の場合 こちらで地域窓口の一覧がありますので、ぜひお近くの地域窓口を確認してみてください。
東京産業保健総合支援センター|地域産業保健センター (johas.go.jp)
2)労働者自身が不調に気が付ける仕組み、相談しやすい環境づくりをする
自分では元気なつもりでも、気が付いたら起きれなくなっていた、という体験はよく耳にします。
50名未満の場合ストレスチェックは義務ではないのですが、簡単に、無料で使えるセルフチェックをご紹介します。
①5分でできる職場のストレスセルフチェック|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト (mhlw.go.jp)
②働く人の疲労蓄積度セルフチェック(働く人用)|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト (mhlw.go.jp)
どちらも厚生労働省の「こころの耳」のサイト内にあります。
また、既に不調を自覚している方は、前に紹介した「ちさんぽ」の地域窓口だけでなく、以下のような相談窓口があります。
①働く人の「こころの耳SNS相談」|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト (mhlw.go.jp)
こちらは、SNS(LINE) で相談が可能です。
「いきなり知らない相談員に電話するのは躊躇する・・・」と言った方でも、LINEだったら少しそのハードルも下がるのではないでしょうか。
②カウンセリングサービス – 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 東京支部 (counselor-tokyo.jp)
こちらは産業カウンセラー協会のカウンセリングサービスです。対面は有料になりますが、電話相談は無料です(1回30分まで)。
以上、意外と知られていない(?)無料で使えるサービスをご紹介しました。このような窓口があることを従業員さんにも知ってもらうため、休憩室等に掲示するのもお勧めです。
QRコードをつけた掲示用の用紙もご用意していますので、お気軽にお声がけください。
社会保険労務士法人ぶれすは、経験豊富な社労士が「働きやすい会社づくり」を全力でお手伝いいたします。