社会保険労務士の山下です。
私たち社会保険労務士は、厚生労働省の助成金申請の代行をすることができます。ただ、同じ資格を持った社労士(事務所)でも、助成金をメインで積極的にやるところ、助成金は一切やらないところ、顧問先に限ってやるところ・・・と、その関わり方は様々です。
今回は、助成金の考え方について書いてみたいと思います(あくまで私の考え方であり、いろいろな考え方の社労士さんがいらっしゃると思います)。
私が考える「助成金」は、こんな会社さんにお勧めです。
・労働基準法その他 諸法令を遵守できていることには自信がある・従業員定着のため助成金を活用して会社をより良くしたい |
逆に、こんな会社さんにはお勧めしません。
・労働基準法その他 諸法令を遵守できているか不安・〇〇円貰えるならとりあえずやってみたい |
厚生労働省の助成金は、個々の助成金の受給条件のほかに「労働関係法令に違反していないこと」がマストになってきます。
〇36協定は毎年届出されているか
〇残業代が正しく計算されて支給されているか
〇年次有給休暇を年5日取得させているか、有給管理簿をきちんとつけているか
等々。。もし一つでもご心配なことがあるのであれば、助成金より先に、心配ごとを一つ一つなくしていきましょう。
次に、「〇〇円貰えるならやってみたい」について。
助成金の申請代行は社労士の独占業務ですが、情報提供等は誰にでもできます。
そのため、「〇〇助成金診断」や「御社はこんな取り組みをすれば〇〇円獲得できます!」といった広告は溢れていますし、実際に顧問先様がコンサル会社からの営業を受けて、「こんな助成金があるならやってみたい」とご連絡をいただくことがあります。
ただ、「〇〇円」の影にある、これから生じる負担と利益をきちんと精査する必要があります。
たとえば、就業規則に特別休暇制度を設けたら〇〇円、といった助成金があるとします。
就業規則に定めるということは、今後 ずっとその休暇を会社の制度として設け、実際に従業員さんが使いたいと請求された場合には与える必要があります。
もちろん、その休暇をもともと考えていて使ってもらいたい、とお考えであればいいのですが・・・
「助成金のためにとりあえず特別休暇を導入したものの。。。何年かやってみてやはり制度を廃止したい」となることがあるのです。社会情勢等のやむを得ない事情であれば別ですが、そうでなければ従業員さんの信頼を失ってしまう可能性すらあるのではないでしょうか。
助成金は基本的には、「法律を上回る措置」をする企業に対して助成されるものですので、実際に現在の会社の体制と、目指す方向性と合っているのか。目先の助成金金額ではなく、中長期的に考えて本当に必要か、企業さんと一緒に考えて向き合っていく。
私たちは助成金とそんな風に向き合っていきたいと考えています。
助成金情報については、最新の情報をチェックし、顧問先様のお役に立てるものがないか常に目を光らせています!
「こういう助成金があると聞いたのだけど、実際どうなの?」「こういう取り組みをしたいんだけど、なにかいい助成金はない?」と思ったら、ぜひご相談ください。
※実際の助成金代行申請は顧問先企業様に限らせていただいております。
社会保険労務士法人ぶれすは、経験豊富な社労士が「働きやすい会社づくり」を全力でお手伝いいたします。