特定社会保険労務士の加藤です。
最近、賃上げのニュースを見るようになりました。
「サントリー6%、日本生命・ロート製薬7%アップ」「ユニクロ、国内従業員の給与アップ最大40%、初任給30万円」「三井住友銀行新卒初任給一律5万円引き上げ」等々。
ですが、日本の労働者の賃金は、バブル崩壊後の平成3年(1991年)の給与額平均394万円で、令和2年のとそれと比べ24万円も高かったのです。
当時は、「終身雇用」が当たり前で、今で言う非正規とは年収103万円以下で働く主婦パートか学生アルバイトを指していました。
それが明確に変わったきっかけとして上げられるのが、『日経連 新時代の日本的経営 1995.3.3』です。
労働者を3つのグループに分けていこうというもので、
①「長期蓄積能力活用型グループ」…正社員のこと
②「高度専門能力活用型グループ」…資格などを持った専門家
③「雇用柔軟型グループ」…非正規・パート・アルバイト・派遣社員
になります。
ちょうど社会保険労務士の資格を取ったときでよく覚えています。バブル崩壊の後で、また阪神淡路大震災とオウム事件が重なり、私自身時代に合わない企業を解体した上で終身雇用を崩して、雇用の流動化を図ることで日本経済が持ち直すと考えていました。
ところが、時代に合わない企業が単にゾンビ企業化し、労働組合が先頭に立ち大企業の正社員雇用(上の①)を死守したことで、しわ寄せを若者に回す(つまり③に固定化する)ことになりました。結果、長い就職氷河期が始まり、今の30代・40代の多くがまともなキャリアを築けていません。働き盛りの年代を活用できないのであれば、経済が停滞するのも頷けます。
また、その「雇用柔軟型グループ」を活用することで、消費税の仕組みを利用し(※)人件費を変動費化させることが可能になりました。企業にとっては調整弁となり有効ですが、実際働く側からしてみればいつ切られるかわからず不安のまま働き続けることになります。であれば、結婚しようなどと考えないのも当然です。
※ 消費税は、売上にかかった消費税をそのまま納めるのではなく、そこから仕入れにかかった消費税を引いて納めます。仕入れはざっくり経費にかかったと考えていただければと思いますが、そこには人件費が入りません。人件費は“消費”になじまないという考えからです(売上にはなじむわけで詭弁の気もしますが)。
ただ、それを派遣にすると一転入れることが出来てしまうんですね。そうなると、派遣費用が高くなっても消費税は安く出来るし、経営が悪くなれば派遣社員は契約終了させれば良くなります。
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