社会保険労務士法人ぶれす

2024.03.22

感情労働とカスハラ

社会保険労務士の山下です。

先日、近所のコンビニのレジが珍しく混んでおり、列に加わって待っていると

 

「だから!ポイントカードだの袋だの、全部いらないって言ったでしょ! 毎日なんで同じこと聞いてくるの!何度もうるさいって!」

・・・と、”怒鳴り声”とも言って差し支えないほど、大きな声を出しているお客さんがいました。

それに対して、店員さん(おそらく大学生くらいの女性)は、

「す、すみません・・・」

と、怖がっているように見えました。

「すみませんっていうけどさ、明日また聞いてくるんでしょ、あなたたちさ~

と続きます。なかなか列が進みません。

すると、品出しをしていた先輩らしき女性の店員さんが

「ごめんさいね、何度も聞いて。聞かなかったら聞かないで怒るお客さんもいるんですよね」

言いながら会計を終えると、ぶつぶつ文句を言いながらもお店を去っていきました。

 

コンビニでの仕事って、レジだけではなく、接客、品出し、場合によっては発注、宅配便や料金支払い、チケット発行・・・

やることが多くて大変そうだな、といつも思いますが、

本当に一番大変なのは「感情労働」の部分かもなぁ、と思った一幕でした。

 

感情労働とは、アメリカの社会学者が1983年に提唱した概念で、自分の感情コントロールが必要とされる労働全般を指します。

頭脳労働・肉体労働とは違い、感情コントロール・適切なコミュニケーションがお客様の消費と結びつき、付加価値となります。

この「感情労働」が求められる職種で言えば、接客業はもちろん、看護師、保育士、教師なども当てはまります。

動物病院でいうと、獣医師さん、看護師さん、トリマーさん、受付・・・すべての職種が当てはまりそうですね。

 

いくら「感情労働」が必要だからと言って、どんなお客様の要求にも対応していたら、身が持ちません。

不適切な過大な要求、著しい迷惑行為は「カスタマーハラスメント」(以下、カスハラ)に該当します。

 

カスハラとは・・

顧客等からのクレーム・言動のうち、内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、労働者の就業環境が害されるもの

 

労働者調査では、3年間に勤務先でカスハラを経験した者の割合は15%であり、パワハラ(31.3%)よりは低いものの、セクハラ(10.2%)よりも回答割合が高いという結果が出ています(令和2年度 厚生労働省 職場のハラスメントに関する実態調査)。

従業員がカスハラを受ければ、仕事に対する意欲が減ったり、深刻な場合は眠れなくなったりと、影響は計り知れません。

 

 

 

さて、話は戻りますが、

あのコンビニでの一件。あれは「カスハラ」に該当するか?

私なりに考えてみました。

 

【要求・妥当性】毎日同じことを何度も聞いてくるのをやめてほしい

 →何度も聞かれたくないなぁという気持ちはわかりますが、店員さん(何人もいる)に、自分の顔と、袋とポイントカードがいらないということを覚えていてもらうのは無理だと通常は思うのではないでしょうか。ただ、これだけをもってカスハラとはいえないかもしれません。

 

【要求を実現するための手段】執拗に繰り返す、大声を出して怖がらせる

→ 明らかに怯えており、手段としては”カスハラ”に該当するのではないでしょうか。

 

どこからが「カスハラ」なのかは、業種や会社の方針によって変わってくるでしょうし、経験の浅い従業員さんほど、判断が難しいこともあると思います(逆に、何でもかんでもカスハラだ!といってお客様とのコミュニケーションを放棄しても困りますね)。

大切なのは、あらかじめカスハラの判断基準を明確にした上で、「カスタマーハラスメントから組織として従業員を守る」という姿勢・基本方針を職場全体に周知することではないでしょうか。

※厚生労働省のホームページにも、詳しいマニュアルがあります。

厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル

 

 


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