社会保険労務士法人ぶれす

2024.09.13

2024年(令和6年)の最低賃金が発表されました!

こんにちは。特定社会保険労務士の延島です。

先日、出張で青森県に行ってきました!
日中は30度くらいありましたが、湿度が少なくとても爽やか!
朝晩は20度くらいで、久しぶりに心地よい眠りと深い呼吸ができました。
ぶれすのある東京代々木では相変わらずじめっと暑い日々が続いています。
蒸し暑く寝苦しい日々が早く終わりますように!

さて、すでにご存じの方も多いと思いますが、2024年10月より全国で最低賃金が改定されます。

最低賃金は、最低賃金審議会で議論されて引上げ目安が提示されます。
その目安により各地域の実情を踏まえて答申が出されます。
加藤先生のブログ「2024年度の最低賃金答申が出ました」のとおり、ほぼ答申どおりの結果となりました。
※岩手、山形、島根、徳島、愛媛、佐賀、長崎に関しては未決定です。

今年は過去最高の50円以上となり、ぶれすでもさっそくお客様の最低賃金のチェックを始めています。

それでは最低賃金のチェック方法をみていきましょう。

事業所所在地の地域の最低賃金を確認する

最低賃金は都道府県別に決まっています。→「地域別最低賃金の全国一覧」で確認できます。
東京都は2024年10月から1063円になります。

🤔支店が別の地域にあるときは?
支店の地域の最低賃金が適用されます。
ただし、、著しく小規模であったり、事務能力など含めて独立性のないものは、本社の最低賃金が適用されます。

🤔最低賃金には2種類ある?
「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。
「地域別最低賃金」は、各都道府県ごとに決まるものですが、「健康で文化的な最低限度の生活を営むことができる」金額とされています。そのため、物価や家賃など地域の生活費の状況により、都道府県で金額が異なっています。

「特定最低賃金」は、その地域で特定の産業について、地域の最低賃金よりも高く設定するものです。
ただ、ここ最近は最低賃金の引き上げ額が大きいため、特定最低賃金も地域別最低賃金と同額にしていることが多いです。

最低賃金を計算する

時給制と日給制はそれほど難しくないので、今回は月給制の場合で説明します。(時給制、日給制の最低賃金チェック方法は厚生労働省の最低賃金チェックサイトで確認できます。)

1時間あたりの賃金を算出方法は
<月額の対象賃金÷1ヶ月平均所定労働時間>
となりますが、「月額の対象賃金」や「1ヶ月平均所定労働時間」が分からないと計算できません。

1️⃣📝ステップ1

まず対象となる賃金を選択します。
最低賃金の計算に含める賃金は、毎月支払われる労働の対象となる賃金ですが、次のものは除きます。

🧑‍💻割増賃金(残業手当や深夜手当)
残業手当、深夜労働手当、休日手当などの割増手当は、最低賃金には含まれません。

🚃通勤手当
会社が支給する交通費や通勤手当は、最低賃金の計算には含まれません。
通勤にかかる費用の補助であり、基本的な労働対価とは別物として考慮されます

💰賞与(ボーナス)
賞与やボーナスは、臨時の報酬であり、日常的な臨時とは違います。これも最低の計算には含まれません

👨‍👩‍👧‍👦家族手当
例えばお子さんを扶養する社員に、月○○円と支給するものです。
これも、生活の補助として支給されるもので、通常の労働に対する賃金とは異なるとされ、最低賃金の計算には含めません

精皆勤手当
精皆勤手当は、遅刻や欠勤が無かった場合に支給されます。支給されない可能性があるため最低賃金の計算から除きます。

🎁その他の臨時の手当
結婚祝金やお見舞金など、労働の対価ではなく臨時的に支給される手当は、除かれます。

🤔固定残業手当は毎月定額なので含めていいですか?
固定でも残業手当は含めることができません。

🤔住宅費の補助として住宅手当を出していますか、最低賃金の対象になりますか?

最低賃金の計算に含まれます。通勤手当や家族手当の例をふまえると、含めることができなさそうで不思議ですが(私もよく勘違いしそうになります)、除外する賃金に指定されていないため、含めることができます。

2️⃣📝ステップ2

続いて分母となる「1ヶ月平均所定労働時間」を計算します。
計算方法は次のとおりです。

1ヶ月平均所定労働時間=年間労働日数(365日-1年の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12ヵ月

それほど難しい計算ではありませんが、正確に出しておかないと、思わぬところで最低賃金を下回ってしまう可能性があります。

年間労働日数は1年間の暦日数から年間休日を差し引いて求めますので、まずは年間休日を計算しましょう。

<例>休日が週休2日制、夏休み2日、年末年始3日の職場の場合
週休2日は1年間で105日+夏休み2日+年末年始3日=年間休日110日という計算です。

歴日数365日-年間休日110日=255日が年間労働日数となります。

続いて1日の所定労働時間を乗じて年間労働時間を算出します。
1日8時間労働の場合は
255日×8時間=年間労働時間2040時間

年間労働時間がでればあともうちょっとです!

年間労働時間を12ヶ月で割った時間が「1ヶ月平均所定労働時間」です。

2040時間÷12ヶ月=1ヶ月平均所定労働時間【170時間】となります。

3️⃣📝ステップ3

1ヶ月平均所定労働時間が出たらいよいよ1時間あたりの賃金を計算します。

<例>

 基本給  15万円
 資格手当  2万円
    住宅手当  2万円
 精皆勤手当  1万円
 通勤手当  2万円
 固定残業手当  8万円
 計  30万円

30万円も支給しているんだから、最低賃金なんて考えなくても大丈夫!とはなりません。

ステップ1に照らしてみると、最低賃金の計算に含めるのは次のようになります。

基本給15万円+資格手当2万円+住宅手当2万円=19万円
この19万円が最低賃金の計算対象となります。

ステップ2の1ヶ月平均所定労働時間で割ると

19万円÷170時間=1117.6470円 ←これが1時間あたりの賃金となります。

2023年10月時点の東京都の最低賃金は1113円ですので、比較すると上回っています。
ところが2024年10月から東京都の最低賃金は1163円となりますので、下回ってしまいます。

この職場で最低賃金を満たすには
1163円×170時間=197,710円となります。
19万円ですと7,710円足りませんので、基本給やその他の手当額を増やして、下回らないように昇給させなければなりません。

いかがでしょうか。
変形労働時間制や1日の労働時間が一定でない場合などは、月平均所定時間の算出方法が異なります。
まずは、就業規則や会社の休日カレンダーを手元に置いて、月平均所定時間の計算から始めてみましょう。

最低賃金法に違反した場合、使用者に50万円以下の罰金が処せられることもあります。
もちろん差額の支払も必要ですし、何より従業員からの信用を失ってしまうことも。
最低賃金制度についての知識を確認して備えましょう。

さて、政府は2030年代半ばまでに全国平均1500円を目標としています。
あと10年でこの目標に到達するには、毎年4~5%引き上げることになります。
事業主の方としては胃が痛いことでしょう。
私も雇用する側として痛いほどわかりますが、事業は一人では成長できません。
加藤先生のブログ「給料、どう決めていますか?」で東京で一人暮らしをするには25万円程度というのがありました。

安心して生活ができる賃金がなければ、せっかく採用した人も退職してしまうかもしれません。

厚生労働省「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業」では、賃上げを支援する助成金や施策などが掲載されていますので、事業の生産性や収益アップのためぜひ活用してみましょう。

 


今回のスイーツ情報は吉祥寺の有名店「アテスウェイ」
モンブランが有名ですが、隣の姉妹店の「アテスウェイ グラスエショコラ」のアイスを紹介します!
チョコレート専門店なので、チョコレートアイスが豊富で美味ですが、コーンの内側にチョコレートをたっぷり塗って提供してくれます。
コーンとチョコレートとアイスクリームの三重奏で至福です。


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