
社労士の山下です。
2025年の4月から、育児・介護休業法が改正されます。
改正されるものの一部として、「子の看護等休暇」「介護休暇」などがあるのですが、これらの「休暇」は、有給(給料が出る)休暇であることまでは法律では求められておらず、「無給休暇」(給与がでない=月給制の方であれば賃金控除される)であってもよいのです。労働基準法に定めのある「生理休暇」なども、同様です。
というと、従業員さんにも事業主さんにもかなり高確率でこう聞かれます。
「それってなんか意味あるんですか?」
「年次有給休暇があるなら、それを使えばいいですよね?」
仰る通りです!年次有給休暇を使えば、お給料も出ますし、わざわざ無給の休暇を使う意味なんて・・・と考えるのも自然なことです。
しかし、無給であってもこれらの「休暇」は意味があるのです。
無給の「休暇」その意義とは?
①年次有給休暇がない方も取得できる
入社6か月未満の方(※)や、育休復帰からお子さんの体調不良で有給休暇を使い切ってしまった方・・・そういう方も、看護等休暇や介護休暇を取得でき、これは通常の「欠勤」とは違うので、休暇の取得が理由で人事考課がマイナスになったり、指導の対象となったりすることは、通常ありません。
※いままで労使協定を結ぶことで除外されていましたが、2025年4月の改正で、入社6か月未満の方を看護等休暇、介護休暇の対象から除くことはできなくなります。
②年次有給休暇の取得ルールから外れていても取得でき、時季変更権も行使できない
年次有給休暇を取得するには「シフト決定までに」「2週間前までに」と決めている会社さんも多いと思います。当たり前ですが、お子さんや家族の病気は突然。計画なんてできません。なので、看護等休暇も介護休暇も、当日申し出たとしても取得を認めていただくことになります。
また、年次有給休暇には事業主さんに「時季変更権」が認められています。どうしてもこの日に取得されてしまうと事業の運営に支障をきたす、という場合に、他の日にしてもらえないか、と言える権利です(実務上はこの時季変更権の行使が認められるケースはまれですが)。看護等休暇・介護休暇には時季変更権は行使できません。
繰り返しになりますが、突然の休暇取得だとしても、この取得だけをもってマイナス評価するようなことはあってはなりません。
・・・とは言っても、しょっちゅう突然の休暇取得も周りの従業員が困る・・・というのもあるでしょう。少人数のシフトでまわしているので、代わりに出る人が見つからない、といった動物病院さんには悩みの種になることもあると思います。
私自身、子育て真っ最中の当事者として、育児介護休業法が年々改正され、育児・介護しながら当たり前に仕事を続けられる世の中になることは非常に喜ばしいことだと思います。その一方、これらの改正は大企業ならともかく、小規模な企業さんには負担が大きく、女性が多い(※)動物病院さんにとっては非常に影響が大きいのではないでしょうか。
※育児関連の休暇はもちろん男性も取得できますが、現実問題として女性が取得することがまだまだ多いという意味です。
育児介護休業法の拡充とともに、中小企業への助成金の拡充や支援も早々に検討いただきたい、切にそう思っています。
育児介護休業法の改正内容については来週、育児と言えば!の村田先生の解説をお待ちください!
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