社会保険労務士の山下です。
「雇用契約書」「雇用条件通知書」の大切さはこちらのブログでもたびたびお伝えしていますが、
来年4月から、この雇用契約書に記載しなければならない事項が増えます。
有期、正社員どちらも対象となってくる追加事項が
①就業の場所の変更の範囲
②従事する業務の変更の範囲
の2点です。
さらに、有期の方には「更新回数の上限」「無期転換機会の明示」「無期転換後の労働条件の明示」がプラスで必要ですが、
こちらについてはまた別の機会でご紹介したいと思います。
まず、①就業の場所について。
現在は、「〇〇および会社の指定する場所」などで記載されているケースが多いかと思いますが、
来年4月からは「採用直後の就業場所」に加えて「変更の範囲」を記載する必要が出てきます。
・複数拠点がある。
・いまは一か所でも、今後 複数拠点となる可能性がある。
といった場合、雇用契約書には
就業の場所: (雇入れ直後) 〇〇動物病院(東京都△△区〇〇) (変更の範囲) 〇〇支店・△△支店 |
変更の範囲については基本的にポジティブリスト(限定列挙でリストに挙げたもの以外はすべて禁止とする方式)で行いますが、今後 複数に拠点を設け 人員の融通をきかせたい場合には「東京都内」「会社の定める就業場所」など変更の範囲を限定しない包括的な記載方法も考えられます。
ただ、勤務時間の短いパートさんの場合、通勤時間が職場選択の重要な条件になってくることが多いと思いますので、その場合はある程度 絞って書くと安心して就業ができるでしょう。
反対に、正社員の場合 転居を伴う配転の可能性があるのであれば、しっかりとその旨を雇用契約書にも記載するようにしましょう。
次に②の「従事すべき業務の内容」についてです。
こちらも、①の就業場所と同様、「雇い入れ直後の就業内容」とともに「変更の範囲」についても記載が必要になります。
従事すべき業務の内容: (雇入れ直後) トリミング業務および付随業務 (変更の範囲) 動物診療補助、受付業務 |
今回ご紹介した改正部分については、採用決定後の雇用契約書だけでなく、求職者等に明示しなければならない事項にも該当します。
業務の内容については、正社員か、パートかで その範囲が変わってくることも多いと思いますが、採用のときに変更の可能性の有無や範囲を伝えておくことで
「〇〇業務にだけ集中したい(それ以外はやるつもりがない)」
もしくは
「いろんな業務を経験したい」「将来的にチャレンジしたい業務がある」といった求職者と、会社の意向のアンマッチを防ぐためにも有用です。
来年4月の改定施行にあわせて、雇用契約書・雇用条件通知書の内容を一度再点検してみてはいかがでしょうか?
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