社会保険労務士法人ぶれす

2023.03.31

社員の健康管理は誰の義務?

社会保険労務士の山下です。

早いもので今日で3月も終わり。4月に新入社員を迎え入れるという企業さんも多いのではないでしょうか。

さて、入社時には「入社時健康診断」、1年に1回「一般健康診断」を行う必要がありますが、

「基本的に健診費用は会社負担で、診断結果は会社で保管が必要です」と言うと、驚かれる方も少なくありません。

 

私自身、大学を卒業して 一般企業に就職した際、「こんな費用まで会社で負担してくれるんだな」とか、

「結果は総務の人に見られるのか、、、なんか恥ずかしいな(身長とか体重とか全部書いてるし)」なんて思ったことを覚えています。

 

なぜ健康診断が事業主の義務なのか

労働安全衛生法第44条では、「企業は従業員に健康診断を実施しなければならない」と定めており、法律上において果たすべき義務となっています。

健康診断を受診させなかった場合や、その情報が漏洩してしまったときは、罰金刑だけでなく6か月以下の懲役を科される可能性もあります。

 

日本での企業健康診断の歴史は、労働基準法の前身・工場法まで遡ります。

大正時代、戦時の劣悪な生活環境で結核が増加し、結核予防法による健康診断が開始されました。

職場においても職場内の感染拡大防止や結核蔓延に対する企業責任の高まりを受けて、昭和13年に規則が改正され、「毎年1回の健康診断」と「健康診断の記録保存」が工場主の義務となりました。

その後、昭和22年に労働基準法が公布。健康診断の対象者が工場の職工から「全業種の労働者」へと拡大され、

昭和47年に制定された労働安全衛生法で、より詳細に定められるようになります。

 

もともとは結核蔓延防止を目的として出来た制度と言えますが、

いま現在、企業健康診断の目的はどこにあるのでしょうか?

法律で義務付けられていることはもちろんですが、

・従業員が病気を早期発見、治療する可能性が高まり、会社の安定的な発展につながる

・長時間残業や職場環境が従業員の健康に影響を及ぼしていないか定期的に確認することができる

など、生産性の向上やより良い職場環境をつくるといった面で、企業の成長にも繋がると言えるのではないでしょうか。

 

従業員さんにも周知を!

健康管理は従業員各々の責任だとしても、そのきっかけ・手段として企業の健康診断があり、

会社は健康診断を「受けさせる」義務、「結果を保存」する義務がある。

従業員さんにも、健康診断を受ける義務がある(※就業規則で定めている場合も多いです)。

従業員の皆さんの健康状態、職場として配慮することがあれば早く対処するために結果を保存するのであって、

それ以外のことには情報は使わない、といったことを周知できると、抵抗のある従業員さんも安心するのではないでしょうか。

 

健保組合・協会けんぽの助成をうまく活用しましょう!

健康診断費用は原則企業負担ですが、加入している組合・協会によっては健康保険の助成が使える場合があります。

多くの中小企業が加入している協会けんぽでは、残念ながら35歳未満の方への一般健康診断の助成はありませんが、

35歳以上の方には「生活習慣病予防健診」が用意されています。

今年4月から、自己(会社)負担分がさらに安く(7169円→5282円)になりましたので、ぜひご活用ください。

料金 | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)

 

 

「シフト制でいつ健康診断に行ってもらったらいいかわからない・・」

「何と言って病院に健診の予約を入れたらいいの?」

「結果の保存を拒否されている」

具体的な健康診断の進め方、お悩みなどぜひご相談ください。


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