こんにちは。特定社会保険労務士の延島です。
先日、帯広に出張してきました。
北海道は紅葉が始まりとても気持ちの良いシーズンです。
帯広には仕事で年2回ほど行きますが、大好きな町です。
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今回は、パートの方の有給休暇の取り方についてです。
動物病院ではパートスタッフの方も多く働いています。
もともと正社員だった方がパートになったり、経験者でフルタイムが難しい場合だったり、未経験の方がトライしてみたり、いろいろなケースがあります。
時間や出勤日数の制限がある方が多いですが、頼れるパートの方は動物病院では欠かせない存在なのではないでしょうか。
パートの方の有休の取り方や賃金計算についてのお悩みを相談されることがあります。
まず大前提としてパートの方にも有給休暇がありますので、その点から説明したいと思います。
年次有給休暇は、正社員、パートなど雇用形態にかかわらず、「要件」を満たすと付与されるものです。
ただし、日数に違いがあります。
付与される要件
有給休暇は、入社してから6ヶ月継続勤務して、出勤率が8割以上の方に付与されます。
出勤率8割というのは、出勤予定日に対して実際に出勤した日と考えてください。
ただし、労災で休んでいる期間、育児休業や介護休業、有給休暇など法律で定める休暇は出勤したものとみなします。
遅刻や早退した日は出勤率に含まれる?
含まれます。出勤率の算定にあたって、遅刻や早退があっても、出勤1日としてカウントします。
休日出勤した日はどうなるの?
休日出勤した日は、出勤率の算定で出勤に含みません。
出勤できない日があったので入れ替えたんですが
休日出勤ではなく、入れ替えたということなら、出勤としてカウントしましょう。
出勤率の算定は、愛媛労働局がわかりやすので参考にしてください。
付与される日数と付与日
付与される日は、雇い入れから6ヶ月経過後となります。
例えば4月1日入社でしたら10月1日が初回の付与日となります。
その後は、毎年10月1日に付与されます。
付与日数は、勤務日数によって2つのパターンがあります。
【基本】通常の労働者の方(正社員などフルタイムで働く方)と、週30時間以上働くパートの方
【短時間】週の労働時間が30時間未満の方
週によって勤務時間がばらばらの場合は、【基本】と【短時間】どちらの表になりますか?
その場合は1月の平均をみてみましょう。
例えば、毎月120時間程度勤務する方でしたら、週によって30時間未満の日があっても平均して週30時間となりますので、【基本】の表で付与しましょう。
週30時間未満ですが、週所定労働日数が決まっていません。どの列を見ればいいですか?
【短時間】の表をみると、週所定労働日数によって有休の付与日数が異なります。
週の勤務日数に変動がある場合は、隣の列の1年間の所定労働日数欄で該当するところになります。
最初の6ヶ月目の付与の場合、1年間経っていないので、6ヶ月の所定労働日×2として1年間を計算してください。
パートの方が有給休暇をとったら賃金計算は?
月給制の場合は、有給休暇を取得した場合、賃金が減額されないので、特に悩むことがないのですが、パートの方の場合はどうでしょう。有給休暇の賃金は次の方法があります。
①所定労働時間の賃金を支払う
②労働基準法で定める平均賃金を1日分として支払う
③健康保険の標準報酬月額の30分の1を1日分として支払う
一般的には①が多いでしょう。
勤務時間×時給の額を「有給休暇手当」として支給したり、有休を取った日数分、労働時間に時間を加算すれば簡単に計算できますね。
②の平均賃金を使う場合は次のように計算します。
(A)と(B)の高い方が1日の平均賃金となり、有給休暇1日あたり支給する金額となります。
有給をとった日以前の過去3ヶ月の賃金なので、パートの方の場合、毎月の給与支給額が変動することが多いので、毎回計算することが手間かなと思います。
③健康保険の標準報酬月額の30分の1は、標準報酬月額に変更がない限り定額なので良さそうに思えます。
ただし、このパターンの場合、労使協定を締結しておかなければなりません。
また、健康保険に加入していないパートの方は別の計算方法になるので、やはり煩雑さは残ってしまいます。
さて、ここまでが前提です。
これをふまえてパートの方の有休で悩まれる点をみていきましょう。
どこが有休になるかわからない
①休日が固定している場合
毎週、火曜と日曜がお休みなど決まっている場合は簡単ですね。
出勤日である月曜、水曜、木曜、金曜、土曜が有休を取得できる日となります。
②毎月シフトが変わる場合
シフトにより出勤日が決まる場合、出勤日が有給休暇を取得できる日です。
シフトを通知 → 出勤日に対して有休希望日を申請する
と、単純にいけばいいのですが、ここで悩むのが希望休を聞いてからシフトを決定している場合です。
希望休を最初に聞く → シフト決定 → 希望休とは公休?有休?と混乱してしまいます。
かといって、先にシフトを決定してから有給申請をしてもらうと、何度もシフトの調整が必要でこれも大変です。
ですが、パートの方は希望休で休んでいるから有休は必要ない、とはなりません。
年10日以上の有給休暇がある場合は、最低5日の取得義務があります。
まずはどこが労働日なのか決めなければいけません。
そこで、他の動物病院で実施している方法をまとめました。
①週●日、月●日と労働日数の目安をきめておく
出勤日が●曜日などと決まっていない場合でも、週や月の労働日数を実態にあわせて決めておきましょう。
労働条件通知書に記載して交付することで、双方で共通認識をもっておきます。
これにより、希望休を聞いてからシフトを決める場合でも、所定の労働日数がはっきりしていますので、足りない分を有給休暇にするということができます。
例えば、10月の希望休が、1日、3日、4日、7日、8日、12日、13日、16日、17日、22日、23日、27日、30日
希望休の合計が13日ありますので、10月は18日間が出勤日となります。
月の出勤日数が20日としていた場合、2日間足りませんので、希望休のうち2日間を有給休暇にするという方法です。
ただし、有給休暇は本人が希望する日となりますので、自動的に有休にするというのはNGです。必ず意向を確認しましょう。
シフトを何度も調整する必要はありませんが、有給休暇にするかどうかの確認など、手間は残りますね。
②1年間のシフトを決めておく
まずは、病院側で必要な人数と配置を検討して1年間のシフト表を作成しておきます。
どこが労働日かはっきりしますし、シフトの変更や有休希望は毎月●日までと決めておくことで、運用しやすくなるのではないでしょうか。
1年間!ときくと少し大変に思えますが、日曜と祝日は絶対出れらない、毎週水曜日に休みたい、といったある程度のルーティーンがあるものです。
この方法をとっている動物病院では、4月から3月の1年間のシフトを作成しています。
毎年1月~2月に、今年の夏休みなど長期休暇の予定が決まっている方は、事前に申し出てもらっています。
3月の初めに1年間のシフトを決定して全員に通知しています。
パートの方にとっても、出勤日が先の予定がわかり好評のようです。
変更する場合も毎月●日までと期限を決めて受け付けていますので、柔軟に対応できています。
③年次有給休暇の計画的付与制度を導入する
計画的付与制度といって、有給休暇を消化促進のため、取得する日を指定する制度です。
有給休暇が10日以上ある場合は、5日を超える部分(繰越分を含みます)に限り、計画的付与の対象とすることができます。
例えば、毎年8月10日~8月12日の間に3日間有休を消化する、といったように、有給休暇の取得日を指定する制度です。
制度導入には労使協定が必須となります。
パートの方は柔軟に働きたい方が多いので、正直なところ、あまり使い勝手がよくないように思います。
また、本人が自由に取得できる有給休暇が5日以上確保されますので、どこが有休になるのか、、、といった問題は残ってしまいます。
1日の労働時間がはっきりしていないので、有休の賃金をいくら払えばよいかわからない
「パートの方が有給休暇をとったら賃金計算は?」の①がシンプルなのですが、時間がはっきりしていない、と言われることがあります。
例えば、こんなケースでしょうか。
<例>始業は8時、忙しいときは15時まで、予約やオペがない場合は13時で退社している。
本来は、基本の勤務時間を決めておくべきですが、長年勤務されているパートさんとは、あうんの呼吸で上手にやっていることもあり、いまやよくわからない、、、といったことがあります。
こういった場合に、②の平均賃金を使いますが、計算が面倒だったり、金額が低くなる傾向にあります。
よい機会ですので、基本の勤務時間を決めて改めて労働条件通知書を交付するようにしてはどうでしょうか。
例の場合ですと、
(a)13時退勤してよいことになっているので、8時~13時を所定の勤務時間、13時以降は所定外労働と考える
または
(b)実績をみて、15時頃に退社しているほうが多いので、8時~15時を所定の勤務時間とし、希望があれば早上がりもOKとする
(a)の場合は、実働5時間なので5時間分の賃金、(b)の場合は7時間分の賃金を支給、となります。
あくまで実態をみてご本人へも良く説明しましょう。
くれぐれも有給休暇の賃金を抑えるため、実態と乖離して短めにする、というにはダメですよ。
当日の病欠などに有給休暇をあてて皆さん上手に使っています、という動物病院さんも多いですが、当日の病欠以外に有給が取れないことが隠れた不満になっていたりすることもあります。
賃金の計算やシフトなど億劫で、ついつい目を背けがちですが、パートの方の有給や取得状況、労働条件を一度じっくり見直して運用方法を検討してみましょう。
社員、パートの方、誰もが働きやすい環境を目指したいですね。
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冒頭で帯広出張について書きましたが、帯広といえば六花亭本店!
1階では東京では売っていない焼き菓子、チョコレート、生菓子がたくさん、2階の喫茶室はレトロとモダンの融合でとても素敵です。
ケーキやパンケーキなど美味しくコーヒーはお代わり自由です!
六花亭といえば、マルセイバターサンドなどが有名ですが、最近、友人に教えてもらった「六花のつゆ」が私の一推しです。
薄い薄いお砂糖でできたビー玉より少し小さくしたようなボンボンに、6種類のお酒を包み込んだものです。
小さいキャンディーのようにみえますが、口にいれるとお砂糖がほろっとほどけて、中からとろりと甘いお酒とよい香りがで何とも贅沢な気分に。
小さな小さな繊細な味わいで、まさに花のつゆのようです。
1粒、1粒と手が止まりません。
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