社会保険労務士法人ぶれす

2024.07.26

【動物病院で多いご相談】⑨休憩をとってくれない?とれない?

こんにちは。特定社会保険労務士の延島です。

社労士事務所は6月~7月が繁忙期ですが、やっと落ち着きつつあります。
特に社会保険の算定基礎は、従業員の皆さんの将来の年金や給付金に関係する大事なもの。
無事に期限までに申請ができてほっとしています。

 

さて、今回は休憩時間についての第2弾です。

昨年の4月にも休憩時間の基本について書いているのですが、それだけご相談やトラブルが多いところです。

第1弾はこちちからどうぞ【動物病院で多いご相談】①休憩時間のお話

動物病院のトリマーさんが休憩をとってくれない、といったご相談をいただくことがあります。
思ったより時間がかかり途中で切り上げられない、最後までやってしまいたい、と本人が希望しているとのこと。。

休憩時間とは、労働基準法第34条で次のように定められています。


使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。


ご相談のケースでは1日8時間労働で残業もある方ですので、最低でも1時間の休憩を与える義務があります。

これに違反すると、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となる場合があります😰
また所定労働時間外の労働ですので残業代の支払も必要です。

「そうはいっても予約が」
「本人が休憩をいらないという」
「本人の仕事が遅くて終わらない」
「その分、早く帰っていいことにしている」

10年ほど前まで、トリマーさんの労働環境は正直なところ、良いとは言えませんでした。

技術を身につけるためには仕方がない、接客業なのだから休憩がとれなくても当たり前、といったところも多かったのではないでしょうか。
労働基準法なんて守っていたら会社が潰れてしまう、といったお話も聞いたことがあります。

ただ、社会や働き方が変わるなかで、本人の希望や能力の問題と済ませてしまうことはできません。
仮に本人が勝手にやったことであっても、それを止めずに放置していれば、使用者からの黙示の指示があったとみなされます。
特にトリマ―さんの場合、結果としての成果がはっきりわかるものですから、休憩時間中に業務を行ったことが明らかです。

そのため、事業主としては
🐕休憩を時間を確保できるようなスケジュールにする
🐕休憩時間を確実にとるように周知する
が必要です。

そのうえで個別具体的な対策を取りましょう。

🐩✂️予約・来店スケジュールを確認する
🐩✂️担当者の能力や予約内容から、休憩を取れるタイミングを把握する
🐩✂️休憩開始を声掛けする
🐩✂️連続して取れないときは、分割で取らせる

経験の浅いスタッフや、大型犬を複数頭を連れていらっしゃる方など、時間配分がうまくできないスタッフもいます。
職人的な気質がある職場では、本人に任せきりになってしまうことがありますが、店長や先輩などが時間配分を想定して、手伝いのスタッフを入れたりして、休憩時間を確保できるようにしましょう。

トリマーの方は、動物が好きで、トリミングが好きで、この仕事を選んでいます。
動きが想定できない、長時間の固定が難しい動物を、短時間で仕上げていく神経を使う仕事です。
体力回復してパフォーマンスを上げるためにも、休憩は取ることは大切です。

それでも本人がとりたがらない

実は私もそういう従業員でした。自分のペースでやりたい、今じゃない、とついつい後回しになっていました。
残業代を請求するつもりはない、これをやっておくほうが自分が安心、といった気持ちでした。
当時も薄々気づいていたので本当は言いたくないのですが、「一見、頑張っているようで、単に日々の仕事に無計画」でした(!?)
もちろん、私のようなダメ社員ばかりではありませんが、いずれにしても、従業員に休憩をとるよう促すため、こちらからアプローチが必要です。

🐶休憩時間について理解を深める

スタッフに休憩の重要性や法律上の義務について説明しましょう。
休憩を取ることで、仕事の品質やパフォーマンスが向上し、労働者の健康と安全が確保されます。

🐶個別の対話とフィードバック

スタッフと個別に対話しなぜ休憩を取りたくないのかをヒアリングしましょう。
仕事が終わらない、仕事が遅い、評価に影響するなど、懸念やニーズが隠れていることがあります。

適切に対応し、休憩を取ることが仕事にプラスの影響を与えることを伝えましょう。

🐶柔軟な予約管理

予約を調整することで、従業員が休憩を取るための余裕を持つようにしましょう。
特に、長時間の予約や連続した予約の間に適切な休憩時間を設けることが重要です。

🐶チームワークとサポート

職場全体で休憩を取ることの重要性を共有しましょう。

スタッフ同士が休憩を取ることを奨励する文化を醸成します。

事業主の方は本人がとってくれないと思っていても、本人からは休憩が取れないと言われることがあります。
認識のミスマッチは大きな労務トラブルに発展するリスクがありますし、せっかく育ったスタッフが疲弊して退職に至ります。

山下先生のブログ成長したい」人ばかりではない? ~成長志向と成長実感~で取り上げられていた「静かに退職する若者たち」は、コミュニケーションに苦慮する方、必読です。

大切なのはスタッフと対話し、休憩がとれない事情、取りたくない理由を丁寧にヒアリングして、お互いに歩み寄りをしていくことが大切です。


6月に代々木に開店した「BAKERY&CAFE Honey 代々木店
事務所のすぐ近くでお昼を探索中に見つけてさっそく行ってきました!
10年ほど中央線の荻窪に住んでいたことがあるのですが、同じ「Honey」という素敵なパン屋さんがお気に入りでした。
あれ、このロゴ、この味、オーナーの方に見覚えが、、、と声をかけたところ、なんと荻窪の支店でした。
優しい小麦の香りとふんわり柔らかいパン、代々木で楽しみが一つ増えました!


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