社会保険労務士法人ぶれす代表の延島です。

２月１９日（日）に第1回愛玩動物看護師国家試験が実施されます。

弊所の顧問先様におかれましても、多くの動物病院の従業員の方が受験に臨んでいます。
気持ちが落ち着かない時期かと思いますが、今までの積み重ねを発揮してきっと合格されることを、ぶれす一同お祈りしています。

動物病院の仕事は、診療や手術、来院したペットのケアや入院管理、院内清掃のほか、飼い主さんから経過や症状をヒアリング、飼い主さんの状況に沿った飼い方やケアのアドバイスなど、来院したペットを元気にしてあげるため、毎日とても幅広い業務を行っています。
さて、今日はそんな忙しく働く従業員の方が、お仕事中にケガをした場合についてです。


保定中に動物が嫌がって暴れて咬まれたり、爪切りなどお手入れのときに引っかかれて、ケガをすることがあります。
この時の治療費はどうしたらいいでしょうか。
何となく仕事中の事故だからと、事業主さんが立て替えてそのままにしていたりしていませんか。

業務上の傷病は労災事故として扱われて、「労働者災害補償保険」いわゆる「労災保険」が適用されます。
従業員の方を１人でも雇用している場合は、必ず労災保険にすることが義務付けられています。
保険料は、毎年、１年間の給与総額に保険料率をかけて計算し、事業主の方が全額負担して支払っています。
それにより医療費が労災保険から補償されるため、従業員の方や事業主の方が医療費を負担する必要はありません。

それでは、実際に労災が発生したらどのようにすればいいでしょうか。

まずは、早急に治療を受けさせましょう。
労災申請はその後で大丈夫です。

治療を受ける時は、仕事中の怪我であることをあらかじめ病院に伝えましょう。
治療後にいったんは医療費をご本人が立て替えて支払います。
この時に「健康保険証」は使ってはいけません。
仕事中の怪我は「労災保険」になります。ついうっかり健康保険証を出してしまわないように注意しましょう。

その後、労災保険の請求手続きを所定の様式で申請しますが、かかった病院により手続きの流れが少し違います。

労災指定病院の場合
労災保険の申請書類を作成してかかった病院に提出すると、それ以降は無償で治療が受けられます。
先に立て替えて払った分も原則返金してくれます。（申請時期と治療内容によっては労働基準監督署に請求が必要な場合があります。）


労災指定病院ではない病院を受診した場合
もちろんこの場合も労災補償は受けられます。
ただし、労災指定病院と違って、治療の都度、全額を医療費をご本人が立て替えて支払います。
その後、申請書類を作成して医師の証明を受け、領収証などを添付して労働基準監督署に請求すると、指定した口座に振り込まれます。
審査に数か月かかることもあり、治療が長期間になった場合は負担が大きいですね。
また、労災での治療は、健康保険証を使うことができませんので、立て替えは３割ではなく１０割となり、この点も負担になってしまいます。

それでは労災指定病院はどうやって探せばいいでしょうか。
厚生労働省の「労災保険指定医療機関検索」サイトで検索することができます。
地域や診療科目での検索のほか、かかりたい病院が決まっていれば病院名でも検索ができます。

３月～５月は動物病院の繁忙期、新卒の方も入ってきますので、労災事故が起こりやすい時期です。
事業所の近くの労災指定病院をあらかじめ見つけておくと、いざという時にスムーズです。

労災保険の申請書類は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

労災保険給付関係請求書等ダウンロード

普段見慣れない書類ですので、記入するときにちょっと悩んでしまうかもしれません。
記載例や詳細な保険制度の内容などは、厚生労働省のパンフレットもありますので参考にしてください。
労災保険給付の種類やパンフレット

ぶれすでは、顧問先の動物病院から連絡をいただくと、従業員さんが簡単に記入できるヒアリングシートをお送りしています。
記入いただいた内容に沿って迅速に書類を作成してお届けしますので、事業主の方が書類を作成したり状況をヒアリングしたりなどの負担なく進めることができます。
労災保険は、職場の従業員さんの安全と健康を守る大切な制度ですので、ぜひ活用して安心して働ける職場にしましょう。

---

社会保険労務士法人ぶれすは、経験豊富な社労士が「働きやすい会社づくり」を全力でお手伝いいたします。

お気軽にご相談ください。

ご相談窓口はこちら＞＞＞